長野、岐阜県境にある御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火で、山頂付近の登山道周辺で倒れていた登山者ら31人の多くが火口東側の噴煙の流れる方向に集中していたことが長野県警などの取材でわかった。噴火による健康被害に詳しい専門家は噴煙によって熱傷を負ったり、低酸素症となったりした可能性を指摘している。

 長野県警は28日、心肺停止の31人を山頂付近で発見。ほとんどは山頂の剣ケ峰から南側の王滝頂上山荘に至る登山道沿いに倒れていたとされ、火山灰の中に埋もれた人もいたという。県警はこのうち4人の男性をふもとの木曽町に搬送したが、いずれも死亡が確認された。

 噴火による健康影響を研究している鹿児島市立病院の吉原秀明・救命救急センター長は噴火で死に至る原因として(1)熱風による熱傷(2)硫化水素などの有毒ガスによる低酸素症(3)大量の灰を吸い込んだことによる気道閉塞(へいそく)(4)噴石による外傷−−を挙げ、「これらの原因によって噴煙の流れる方向に倒れていた登山者らが集中していた可能性がある」と話した。

 一方、長野、岐阜両県警や自衛隊などは29日、山頂付近の登山道周辺で心肺停止状態で見つかった27人の救助活動を再開した。午後0時半現在、8人を長野側のふもとに搬送した。噴火に伴う有毒ガスの影響で28日中の搬送を断念していた。この日は約540人態勢で救助を行うとともに、登山道を中心にこれまでより範囲を広げて捜索する。

 29日は、陸路では午前6時過ぎから開田口登山道(木曽町)など3ルートから、自衛隊化学防護隊員や警察官らが次々入山。空からも陸上自衛隊の中型ヘリコプター3機が捜索隊を山頂近くまでピストン輸送した。

 また、長野県は同日、30人としていた負傷者の数を53人と修正した。うち重傷は26人。搬送ではなく自ら病院に掛かった人などを加えたためとみられる。負傷者は岐阜側の10人と合わせて計63人となった。【関谷俊介、稲垣衆史、古川修司】

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 長野県警によると、死亡が確認されたのは名古屋市中村区亀島、会社員、浅井佑介さん(23)▽岐阜市次木(なめき)、同、三浦勇さん(45)▽長野県塩尻市峰原、同、林卓司さん(54)▽同県松本市中川、無職、横田和正さん(61)の4人。

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